親権者が亡くなった後の対応は?


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親権者が亡くなった後の対応は?

未成年後見制度について

未成年後見制度について

離婚に際して子供の親権者は母または父のいずれか一方に指定されることになっています。
ところが離婚後に親権者として指定された側の親が不幸にしてお亡くなりになった場合は、子供の親権はどうなるのでしょうか。
それが今回のコラムのテーマです。

普通に考えれば、夫婦が離婚すればお互い他人同士になってしまうし、仲が悪くて離婚になったのに、それでも子供の親権を両親が共に行使することにすれば、ことある毎に子供を巡り対立し、却って子供の監護養育に支障が生じるためにやむを得ず、一方のみを親権者に指定したのだから、離婚時の親権者である人物が亡くなった以上は、片方の親権が自動的に復活することになるはずですが、そういうわけではないことに注意して下さい。
まず親権者がお亡くなりになって親権を行使する者がいなくなった場合に法律では、未成年者自身またはその親族、その他利害関係人により未成年後見人を選任する申立を家庭裁判所にすることが認められています。
未成年後見人などというと難しく聞こえますが、要するに子供にとっての親代わりとなる人物のことで、子供にとっての祖父母や叔父(伯父)、叔母(伯母)らが選任されることが多いかと思います。
いずれにしても裁判所が子供の福祉のために、子供の教育、住居の確保や維持管理、その他の財産管理、契約行為の代理等について責任ある対応をすることが期待できる人物を見極めて選任することになります。

片方の親が親権を持ちたい場合

片方の親が親権を持ちたい場合

これに対して、離婚時に親権者と指定された側の親がお亡くなりになったからといって、他方の親の親権が自動的に復活するわけではないと述べましたが、親権者の変更の審判を申し立てて認められれば、他方の親に親権が移ることも認められています。
もちろん元々の親権者が死亡したからといって、容易に親権者の変更が認められるというものではなく、教育の権利や義務、住居の確保や管理、財産管理、契約行為の代理などといった条件を果たせるかが慎重に審理されます。

また、家庭裁判所は子供が15歳以上であれば、子供の意思を何らかの形で聴取した上で親権者の変更を認めるか否かを決定します。
子供が15歳に満たなくても概ね10歳以上であれば、この意思、気持ちを尊重して審理されることになります。

未成年後見の申立と親権者変更の申立との関係

以上のとおり、離婚時に親権者と指定された親がお亡くなりになった場合、未成年の子供のためには未成年後見人が選任される場合と、片方の親への親権者の変更が認められる場合との二つの可能性が考えられるわけです。
その申立相互の関係には、どちらが優先されるか、特に法律で規定があるわけではありません。
この点、従前、ややもすると未成年後見人の申立を経て未成年後見人が選任されるのが原則で、親権者の変更が認められて、離婚時に親権を取得できなかった側の親に親権が移ることが認められるのは例外的であるという説明がされていたように思います。
しかしそれは、一度離婚してしまうと、子供と親権者となった親及びその近親者との絆は維持される一方、親権者とならなかった側の親とはそのまま疎遠になってしまうケースが多かったという現実によるものだと思います。離婚後、子供と疎遠なままになっていたのに、離婚した元妻(元夫)がお亡くなりになったからといって、にわかに自分が親権者になりたいと名乗り出ても、子供が数年のブランクを乗り越えて親子の関係を再構築することは困難だということによるのでしょう。
この点、離婚後の面会交流の必要性が叫ばれる今日にあって、良好な面会交流が継続し、離婚後にあっても親子の良好な関係が維持されていたようなときには、親権者がお亡くなりになったとき、未成年後見人を選任するよりは、元々の子供の親に親権を認めた方がよいという価値判断がされるのは自然なことであろうと思います。

ともあれ、離婚時に親権者と指定された親がお亡くなりになってしまわれたときには、残された子供のことを考えどのような対応をするのがよいのか、専門家に相談する必要が高いと思います。