TOP > 借地、借家、離婚調停など法律についての基礎知識 > 子供の未来に影響する親権問題 > 親権をめぐる裁判について
稀に離婚時に親権争いが起こることがありますが、一向に解決しないということも少なくありません。
親権争いは、財産分与や慰謝料などの金銭問題とは異なり、お互いが歩み寄り譲歩し合うことで解決することのできない問題だからです。
夫婦同士の話し合いでどちらが親権を獲得するか決まらない場合は、離婚調停(夫婦関係調整調停事件)において離婚する際の条件の一つとして協議されることになります。
しかし、親権争いについては離婚調停を経ても双方の意見が一致しないことが普通であり、親権が決まらないケースがあります。
結局、離婚裁判へ移行し、離婚裁判の中で付随して審理される審判事項として、裁判所に判断してもらうことになります。
結局、離婚に際して親権争いが起きてしまったときは、訴訟にまで争い続けることになることを覚悟しなければなりません。
離婚裁判で親権の決定ポイントは、これまでどちらが子供の面倒を見ていたか、経済力、養育環境、看護能力、子供の意見、年齢です。
不倫などが原因で離婚になったという場合であっても、親権の獲得が不利になるというわけではありません。
あくまでどちらの親に親権を与えることが子供を健全に育てられるかという点が大切です。
子供の意思を尊重すべきことは家事事件手続法65条にても定めているところで、家庭裁判所は子供の年齢に応じた適宜の方法で子供の意向の把握に努めなければならないことになっています。
しかし家庭裁判所では、子供を両親の争いに巻き込むべきではないという考えから、子供の意向調査を行うことに消極的で、そのためにしばしば家庭裁判所の考える方向が子供の意見に反しているという場合もあります。
つまりいかに子供の意見、希望を裁判官に伝えるかが、親権争いの肝となっています。
しかしこの点、子供が満15歳以上の場合は、人事訴訟法32条4項において、明確に意見聴取をすべきことが裁判所に義務づけられているので問題になることはありません。
場合によっては子供が家庭裁判所に行って直接、裁判官に意見を伝えることもあるのです。
また、子供の年齢の如何に関わらず家庭裁判所の調査官による家庭訪問がされるのが一般的です。
親権争いが一度起こると、前述しましたように、慰謝料や財産分与とは異なりお互いに歩み寄って解決を図ることができる問題ではないだけに、対立は先鋭化し、解決までに長期化してしまいます。
しかし慰謝料や財産分与とは異なり、親権争いは直接子供に関わる問題です。
特に物心ついた子供がいる場合、親同士が親権争いをしていることは少なからず子供の精神状態に影響を与えてしまいます。
そのため、離婚に際しては、子供本位に考えて本当に差し迫った事情がない限りは親権に固執をして、親権争いを発生させることは極力、避けるようにしましょう。
なお最後に、親権争いとなっている場合に限られることではありませんが、離婚調停や離婚裁判は何度も裁判所に足を運ばなければなりません。
その際に、子供を預かってくれる場所を見つけておきましょう。
実家や知り合い、シッターなど信頼できる大人に子供を預けることをお勧めします。