はじめに
以下では、説明の便宜上、借地権が平成4年8月1日以降に
設定されているものとしてご説明しております。予めご了解下さい。
借地権とは
借地権とは、借地借家法2条1号によると、「建物所有を目的とする地上権又は
土地の賃借権をいう」と定義されています。
ここで気をつけるべきことは、ただ土地を賃借していれば
すべて借地権というわけではないということで、
その土地の上に建物を所有することを目的として土地を借りる場合のみが
借地権ということになります。
増改築のトラブル
借地権の存続期間は普通借地権が短くて30年(借地借家法第3条)、
一般定期借地権では最低50年(借地借家法22条)とされており、
とても長期にわたります。しかも定期借地権では更新はありませんが、
普通借地権では原則として最低10年ごとに更新が繰り返されることが
予定されています(借地借家法4条)。
そのため、建物所有者(借地人)が「古くなったので改築したい。」
「家族が増えたので増築したい。」など、
環境の変化によって増改築を考える場面も多くなります。
しかしその際、さまざまな制約があります。
それは、原則として地主の承諾が必要になるということです。
承諾が得られなければ地主の承諾に代わって
裁判所に増改築についての許可の裁判をしてもらうべく、
借地非訟事件を申し立てなければならなくなります(借地借家法17条2項、18条)。
ここで気をつけるべきは、事後承諾は受け付けられないということです。
増改築工事に着手する前に申し立てなければなりません。
そして、増改築時に「建替え承諾料」が発生し、
承諾料は更地の3パーセント〜5パーセントが目安といわれていますが、
実際には、従前の建物よりも利用効率が上昇するのか否かなど
様々な要素を勘案して決められることとなります。
借地人として地主から増改築時に承諾が得られない時や、
地主として借地人から増改築したいとの申し出を受けた場合など
大きなトラブルになる前に、法律家にご相談ください。