民事訴訟におけるメールの証拠能力とは?
提出する証拠は自由に選定できる
まず初めに法廷でメールが証拠品として認められるかどうかですが、民事起訴では自由心証主義が採用されており提出する証拠品についてはどんなものでも認められるようになっています。
したがってメールは証拠品として法廷に提出ができ、
同時に法的な証拠能力を有していることとなります。
ただし、民事訴訟では書面による証拠品はその内容が事実であり、
文章のやり取りをしたことも事実であるという成立の真正が求められます。
通常、紙による書面の証拠品であればお互いの署名・押印によって成立の真正が認められますが、
メールの場合にはそうしたものがありません。
メールの成立の真正を立証するには、
通常であれば裁判内でメールの差出人・受取人による証人尋問を行います。
また、プロバイダーから通信記録を取り寄せるという方法も考えられますが、
ほとんどの場合は相手側が内容を認めて争うことはないケースが多いようです。
このことからも分かるように、メールは十分な証拠品として法廷に提出できるものです。
証拠品として具体化する方法
メールを証拠品として有効にするには一定のプロセスが必要ですですが、
どの方法も比較的簡単なものですので苦労することはないでしょう。
通常は書証として提出しますが、その際には内容やヘッダー情報を印刷した紙を用います。
また、本文が表示されている状態の携帯電話やスマートフォンを撮影したものを提出する場合もあり、準書証として扱われます。
どちらの場合も相手方に異議を唱えられると成立の真正が必要になります。
更に、メールデータの入っているパソコン自体を裁判官に見てもらうという方法もあります。
この場合検証となりますが、注意しなければならないのは再生が容易であることです。
例えばデータの入ったCDやUSBメモリなどを提出した際、
再生容易ではないとされて証拠品として効力を失います。
故に、同じくデータの入ったHDDを提出したとしても更に再生容易ではないとされます。
このように、証拠品としては申し分なくとも、
証拠品の物によっては全く意味のないものになってしまいますので、
証拠品を具体化する方法については十分な協議が必要でしょう。