TOP > 借地、借家、離婚調停など法律についての基礎知識 > モラハラに一人で悩む前に > モラハラで訴えたい…証拠の集め方は?
モラハラも離婚原因となり、離婚に際して慰謝料を請求できる理由になることは間違いありません。
しかし、モラハラをする配偶者は、そもそもモラハラと非難を浴びるような不当な言動をしているなどとは、夢にも思っていないでしょう。
全面対立となることを覚悟しなければなりません。
そのため、どうやって立証するのか、裁判官に分かってもらえるようにできるのかが最大の懸案になります。
問題は、深刻な案件であればあるほど、配偶者からのモラハラを受けていることに気づかず、自分に落ち度があるのだろうと思い込まされた状態で、数年にもわたる婚姻期間を過ごしていることです。
もともと離婚裁判をするときの材料にするなどと考えることもなく、日常の言動、やりとりについて録音、録画したデータが蓄積しているということもないはずです。
むしろそのような証拠が揃っていたら、その方が不自然と言えるでしょう。
その場合は、今までの婚姻生活で受けた言動や、仕打ちの数々を思い出して、時系列に整理して文章を作るしかありません。
その文章のことを、裁判所では「陳述書」と呼んでいます。
そのような文章を作成してみても、「物語を書くだけならいくらでも書けるだろう。」と反論されることは致し方ありません。
しかし、漫画家でも小説家でも、劇作家でもない、フィクションのストーリーを作成する専門家でもない素人が、そんなに具体的に虚偽のストーリーを次から次にと創作できるはずはないのです。
多くの裁判官はその点を心得ています。
客観的証拠があるに越したことはないですが、客観的証拠がある方が不自然という性質の案件でもありません。
その場合には、どうしても陳述書の信用性を正面から評価して判断することになります。
しかし、直ちに陳述書以外の証拠がないと諦めることは早計です。
携帯電話へのメールやラインのやりとりなどに、しっかりとモラハラとしかいえないような言動が残っていることもあります。
全ての証拠が揃わないとしても、一部だけでも客観証拠を示すことができれば、陳述書にまとめるしかなかった様々なエピソードについても信用性が高くなります。
更に、配偶者からモラハラを受け続けていたことに気がついたときからでも証拠を作成することは可能です。
モラハラを受け続けていたことに気が付いたら、直ちに別居をして、相手配偶者との連絡を絶つなどということはできないでしょう。
モラハラを受け続けていたことに気が付いたとしても、最初のうちは確信が持てず、自分だけ被害者意識が異常に高くなっただけだと思うような気持ちも残っているのが通例です。
そのようなとき、確信を持つに至るまでの間に、配偶者との会話をICレコーダーなどに録音しておくということも証拠になります。
また、お子様の年齢によっては、お子様が証言してくれることもあり得ます。
モラハラを主張するには立証の壁がないわけではありませんが、それでも全く証拠を用意することができないということはありません。
絶対に泣き寝入りは止めましょう。